昨日のNHKスペシャル。2024年正月の能登半島地震に加え、9月の豪雨、洪水によって壊滅的な打撃を受けた輪島市において、中でもあらゆるルートから寸断され何度も孤立した町野町若桑地区の人々を追ったドキュメンタリー。
NHKスペシャル「それでも故郷に花は咲く〜能登・限界集落の1年〜」https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2025011124613?calendar=20250111&ch=g
ニュースを見ていて、災害がなくても限界集落だったのだから、さすがにもうここに住むのは難しいだろうなくらいに軽く考えてテレビを見ていた。
住民がそれぞれ良い表情をしていて映像にひきこまれた。花を育てている農家の方がいた。しかし、地震に続くさらなる災害にによって、再び絶望の淵に叩き落される。住人の苦悶の表情を見て、他人事と甘く見ていた自分の考えの浅さというか、想像力の至らなさのようなものを強く感じた。
地震による壊滅的な被害を何とか乗り越えようと、住民たちは助け合って、家族を思いやり、必死に生きようとしていた。おばあさんはトルコキキョウを植えながら、「自分が裏切らん限りは、この人(花)は決して裏切らんよ」と話し、微笑んでいた。花言葉は「希望」だという。誠実に仕事や生活と向き合い、キリコ祭りも復活させようと、ようやく未来が見えてきた矢先のことだった。
千年に一度という9月の豪雨と洪水によってビニールハウスの中はめちゃくちゃになった。取材に来たディレクターの女性の顔を見るなり、知った顔を見たことでおばあさんは感情が溢れ出し、「泣かんとこうと思ったのに」と言いながら、顔を伏せて嗚咽した。冷蔵庫に身体を預けて耐えきれない様子だった。
本来は希望の象徴だったはずの白いトルコキキョウ。泥をかぶりしおれた様子が能登の人々と重なって、本当に辛いシーンである。どれだけ辛いだろうか。人々の本当の苦しみを1ミリも理解できていなかったと思い知らされる。
これは今日の輪島塗のNHKスペシャルでも同じだった。正月に地震が起きるのと、千年に一度の豪雨をかけ合わせたら、一体どんな確率になるのか。そんなめにあった人々の気持ちを少しでも理解できるものなのか。災害列島に住む日本人必見のドキュメンタリーである。
2025/1/12