VR動画・バーチャル登山「アポイ岳」の制作

札幌駅地下歩行空間でVR体験

久しぶりにVR映像をクリプトン・フューチャー・メディアが実施しているNoMaps2020のイベントのために作った。今回は北海道庁とのコラボである。自分が好きな登山+地形や高山植物の解説VR動画でやりがいのある仕事だった。
来年度以降も計画はあるのだが、私と担当の道職員の仕事次第という感じではある。結構、好評で札幌駅地下歩行空間では足を止めてくれる人も多かったので、また来年以降もやってみたい。北海道新聞の記事はこちら

イベント概要

使用機材

撮影には、GoPro MaxとOsmo Pocket、SONY FDR-AX60等を使用した。ロケは北大の学生だけでなく道の若手職員と協働して行った。全員に重要な役割があって、一発撮りで失敗は許されない状況だったが、天気含め奇跡的に何とか持ちこたえた。
気心の知れた学生たちとのロケは楽しい。今回は正規の授業でもなかったので、余計に肩の力を抜いて取り組めた。
 

VR動画撮影のコツ

今回は2017年の支笏湖の時のように、2D版とVR版と2つ作っているが、2D版はレポーターもいてルートガイドということで情報も多いので、編集は大変だった。ルートガイドを全天球カメラでロケする時のコツとしては以下のようなものがあるだろう。

  • まずは2D版というか、通常の映像を作ってからのほうがVRの構成は考えやすい。しかし、2Dと全天球の2種類のロケを同時に行う必要があり、難易度の高いロケとなる。
  • レポートする出演者を収録する際は、全天球カメラ撮影者のヘルメットからGoProMaxを外して、三脚を立てて出演者のすぐ近くに置く。4K平面カメラの前をふさぐ形になってしまうけど、それはしょうがない。極力、出演者にかぶらないように。
  • できるだけ周りの環境音をきれいに撮影しておく。音声収録専用のスタッフも必要。自然や環境コンテンツを作る時は、音声も非常に重要なコンテンツの一部である。
  • 可能であれば、TCはFree Runで、UBで時刻にしておく。まあ、これはマルチカメラのロケであれば何でもそうなんだけど、特に野外の撮影はそうである。Premiere側で撮影時間でソートできればいいんだけど、何かいつもうまくいかない。
  • 全天球カメラもヘルメットだけでなく、時々、一脚などで浮遊感のある映像を撮っておくとよい。これに関しても別のカメラマンを用意して、ヘルメットのスタッフと交代でやらせるべきかも。休憩にもなるし。
VR版をAdobe Premiere Proで編集している様子
大学が行政と協働してどう社会課題に向き合うか

注意すべき点はいろいろあるが、こうした実践知は、以前、支笏湖で水中の全天球映像を撮った時も同様、実際にやってみないと分からないことばかりだ。
ディレクター&プロデューサーが2名ほど、通常撮影1名、音声1名、GoProMAX2名、Osmo Pocket1名、荷物持ちが2名程度+出演者ということで理想体制では10名以上で動くロケということになる(今回は私がDと通常カメラと音声を兼任)。宿泊を伴う野外ロケの場合はかなり大変だ。この人数の食事と宿泊道具も必要となる。

様々な形で行政の方々が謝意を尽くしてくれたし、学生たちは活動には満足してもらえたとは思うが、今後は教育的な枠組みとして再設計したいと思う。
今回、「ジオパーク振興」という科学コミュニケーション上の課題を北海道庁から提示され、こうした問題に取り組むモチベーションをもらった。これはお金だけでは換算できない重要な学術資源でもあるといえる。

VR動画の編集について

編集時にも注意点はいろいろあるのだが、ここで詳しく書いてもよく分からないと思うので細かい話は割愛する。
今回も編集はAdobe Premiere Pro CCを使用した。まずはGoProスタジオというソフトでPremiereで編集できるコーデックに変換しないと編集できない。また編集マシンのスペックにもよるが、通常はProxyを作らないと5K以上の解像度となるGoProMaxの編集はできないだろう。

GoPro MAXは様々な表現を可能とするデバイスである。事前に試しで撮影して編集のイメージを作ってから今回は作った。
Osmo Pocketも今回のアポイ岳だけでなく、以前の恐竜や農場の取材でも大活躍した。最近の撮影では欠かせないデバイスになってきている。この10月にPocket2も出たので、また試してみたい。

以下が今回制作した2D映像とVR映像である。関係者の皆さん、おつかれさまでした。

2020/10/28

オンライン授業での学び

動画制作をメインに進めている演習形式の授業が3つ終わり、ようやくひと段落した。だが、まだ作品完成までは時間がかかる。
 

自宅のほうが集中できる?

今年は学生たちが自発的に作業を進めるケースが多いように思う。その理由としては、自宅作業を遠隔でやっているので、そのままシームレスに自宅で作業を続ける意識が継続しているからだと思う。自宅のほうが集中力も高まるし、通学というのは意外と心理的な負担もある。いちいち大学まで来て、鍵を借りたり教員に連絡調整する気遣いが不要なのだから、学生たちにとって好都合なのかもしれない。
だが、コミュニケーションをできるだけ避けるようになるのは少し問題があるかもしれない。これは教員側にも言えることではある。
 

オンデマンド講義をOBSで作る

私自身ややリアルのコミュニケーションが苦手なので、学生もたぶんオンデマンドで自由に視聴できるほうが楽なのではないかと思って、オンデマンド講義にすることが多い。私の場合、実習や演習形式が多いので、もちろんオンデマンドだけではなくZOOM等の双方向授業は必須である。
今回は筑波大学用にOBS Studioでオンデマンド講義動画を作った。だいぶ慣れてきて、20分×8本くらいの分量をほぼ2日で作ることができた。以前80分1本で四苦八苦してた頃に比べると早くなった。
ZOOMでもオンデマンドぽく作れるが、画質・音質は悪いし、私は講義に動画をかなり使うので、ZOOMのクオリティでは厳しい。OBSはクロマキー合成もできるようなので、昔、JMOOC用に大変な苦労をして作ってもらった合成の講義動画もこれなら一人で割と簡単に作れそうである。
 

学生は勝手に検索して使いこなす

検索の時代にあって、「教える」とはどういうことか考えさせられることが多かった。興味さえあれば学生たちは自発的にPremiere ProやPhotoshopなどの使い方を調べていくので(After Effectsでさえも!)、彼女ら彼らに与えるのは知識よりも動機の方がはるかに重要である。
強いモチベーションをまず持ってもらうのが何より大事だとすると、この授業で何ができるようになるかを、最初のほうで明確にまた魅力的に示す必要がある。
またこのネット検索の時代に、得難いのは知識ではなく、体験であることがより明確になった。一人で悩むのではなく、よく知っている人間に教えてもらうことで思いもしなかった「化学反応」が起きる。仲間の学生と話し合うことで自らの内部から生まれる気づきもある。
 

学びを進める駆動力とは

というわけで、オンライン教育の駆動力となるのは、「動機」「自発性」「リアルでの体験」ということになるだろうか。こんなことは経験豊富な他の教員たちが過去にいくらでも言っているだろうが、改めて感じたのでここに記しておく。

がらにもなく、今日はまじめに書いてしまった。3つ終わってほっとしたのだろう…。
本当はもう一つあったはずなのだが、コロナで潰れてしまった。残念である。次は授業ではなく、自治体職員への研修となる予定である。

2020/10/2

NHKさわやか自然百景「北海道 帯広の森」を制作

ここでは、まるでサーバエンジニア初心者みたいなことばかり書いていましたが、本業は映像ディレクターでした…。
久しぶりにディレクターとしてNHKの自然番組「さわやか自然百景〜北海道 帯広の森〜」を制作しました。

北海道帯広市にある広大な都市公園 帯広の森

NHK さわやか自然百景「北海道 帯広の森」
https://www.nhk.jp/p/sawayaka/ts/89LVV5QNNM/

さわやか自然百景「北海道 帯広の森」放送日時
本放送:2020年9月13日(日)前 7:45~7:59 NHK総合
再放送:9月19日(土)前 6:30~6:44 BSプレミアム
BS4K放送:9月13日(日)前 7:45~7:59
             :9月13日(日)後 6:45 ~6:59
             :9月18日(金)後 8:45~8:59
 

エゾモモンガ(オス)
ハイタカの撮影

北海道に移り住んで10年以上。一度は北海道で自然番組を作りたいと思って、新型コロナが落ち着いた6月下旬から7月中旬までの間隙をついて何とか作ることができました。

今回のロケでは、6月20日、帯広の森の某所にて、畜大の研究者や学生さんの協力のおかげで奇跡的にエゾモモンガの繁殖行動が撮影できました。

いろいろつらいこともありましたが、自然番組のロケは(撮れれば)楽しいなと改めて感じました。協力してくださった皆さん、ありがとうございました。

2020/9/17

サーバを Amazon LightSail へ移行

結局、データ量やアクセスが極めて小規模なのに、EC2およびロードバランサー(ALB)を使うのはちょっとコストがかかりすぎる(月35USDくらい)ということで、Amazon LightSail でサーバを立てました。

一番小規模な月3.5USDのプラン(最初の1ヶ月無料)にしましたが、値段はつまり1/10くらいですね。個人HPくらいだったら、これで十分ではないかと思います。まあ、これまでのは勉強代と自分に言い聞かせています。

サイトの複製には、Duplicator というプラグインを使いました。簡単に複製できて便利です。ただMysqlのデータベースやパスワードは把握しておく必要があります。wp-config.phpがhtdocsディレクトリ内にあると移行できないので、FTPソフトで、名称を変更しておくか削除しておく必要があります。
またインストールで問題が起きないようターミナルソフトでのhtdocsディレクトリの一時的な権限変更もしておいたほうがよいかもしれません。LightSailの場合クリックひとつでターミナルがブラウザ上に出てくるので便利です。

Route53で元のドメインのレコードに新しいIPを紐付けられるのかがちょっと不安だったのですが、とりあえずは問題なく紐付けられたようです。

Route53コンソールでの変更

あと、もう一つ不安だったのが、SSLです。しかし、AWS Lighgsail には Bitnami HTTPS Configuration Tool (bncert tool)が入っているようで、こちらは思ったより簡単にできました。以下が参考になりました。

・AWS Lightsail でWordPress を簡単に常時SSL化

https://blog.tsukashu.net/lightsail-ssl-bncert-tool/

・bitnami redmineにSSL証明書(Let’s Encrypt)を導入する

https://qiita.com/kooohei/items/c4ac40f4bbf366cc0e31

2020/8/1

WordPressのマルチサイト化

前投稿でも書いたように、なんやかんやでAWSのEC2にはお金がかかります。最初からLightsailで作っておけばよかったかと若干の後悔もありますが、同一サーバにたくさんサイトを構築できれば、何とか元は取れるのかもしれません。
しかし、Wordpressのマルチサイト化はここを見ても分かるように結構めんどくさいようです。できなくはないですが、すでに作ったこのサイトに何かエラーが出ても嫌だし、このサイトをマルチサイト化するのはとりあえずやめようと思った次第です。

しかし、昨今のコロナ対応で教育用サイトを作らないといけなくなり、既存の大学で用意されているものは何か使いにくいし、Googleサイトはあんまり好きじゃない、MoodleをインストールしてID管理までするのも何かおおげさだし…。ということで、瞬間風速的ではありますが慣れてきてるWordpressで作っちゃおうと思いました。

WordPressサイト複製の方法

方法は結構、簡単でした。参考までに私の環境ではWordpressは上記のようなドキュメントルートに入っているので、そこにディレクトリを作って(上図ではぼかしています)、その中に新しいWordpressをダウンロードしてインストールするだけです(細かいことはこちらとかこちらを参考に)。あとはいろいろな指示にしたがって、wp-config.phpなどを作っていけばOKです。ファイル内容の変更に関してはFTPソフトから権限変更できれば簡単ですが、できない場合はターミナルソフトからコマンドラインで変更して下さい。

Mysqlのデータベースはできれば新しく作る

データベース名やユーザー名、ホスト名、パスワードは、ターミナルソフトで確認して、そのとおり打ち込めばいいのですが、テーブル接頭辞というのだけは新しく作らないとサイトが作れませんので注意が必要です。既存のWordpressサイトのデータベースを上書きして消してしまわないように(さらっと書いてますが、バックアップ取ってないと悲惨なことになります)。
というより、Mysqlより、新しいデータベースを作ってそこにtableを入れたほうがあとで管理も楽だと思います。

最近はサーバやWordpress周りをいじるのに凝っていますが、科学番組制作もそろそろ本格的に始まってきたので、意外と時間がなくなってきました。独立&客員教員になって数ヶ月は海外でのんびりしようという夢はコロナもあってさっそく頓挫中です…

2020/4/11

AWS EC2の料金、EIPの削除

よく分からないでやっていたら、やはりAWSのElastic Compute Cloud(EC2)料金が結構かかっていました(下の表は月の支払い分です)。まず間抜けなのが使ってないバージニアのリージョンで放置してたElastic IP address(EIP、固定IP)に関わる使用料金が11.14$。

どこかのサイトに無料と書いてあったので、当然EIPをとったほうがよいかと思ってたのですが、再起動したときに自動割当のIPが変わってもターミナルソフトやFTPソフトの設定を変えればいいだけなので不要と思い、EIPはとりあえず削除しました。
あとトライアルでいろいろ作ってしまったアカウントやRoute53のホストゾーンとか放置していたのを削除。ただこれでコストダウンになったかどうかはよく分かりません。

一番大きいのは、Elastic Load Balancingのようです。これは負荷分散の機能らしいので、こんなほとんどアクセスのないサイトに不要なのですが、どこをどういじればコストダウンになるのか分からない状態です。
あと、何も作成していないLightsailにいつもお金がとられているのもよく分からない。どうすれば、解除できるのだろうか。

2020/4/11

パノラマ写真の使い方

スマホでパノラマ写真が撮れますが、何に使ったらよいのかよく分かりませんでした。たまに山の写真をプリントアウトして冷蔵庫に貼ったりしていましたが、広めに撮った普通の写真を印刷して帯状にはさみで切っても同じではないか?と。
しかし今回、サイトのヘッダーに使ってみたらパノラマは非常に良い感じですね。最高で240度くらいの範囲が映るようです。解像度も最高で左右は10800pixelもあるとか。印刷物にも使えるでしょう。
いま、ヘッダーにつけている撮影場所をご紹介します。写真をクリックするとGPSデータによる位置情報がGoogle Mapで表示されます。

北海道 羊蹄山山頂 Mount Yōtei located in Shikotsu-Toya National Park, Hokkaido
The kangaroo point, Nambung, Western Australia
The Pinnacles, Nambung National Park, Western Australia
Lake Thetis and Stromatolites, Cervantes, Western Australia
Carp island Resort on private island in Palau

2019/12/17

AWSにWordPressを入れて

AWS(Amazon Web Services)のEC2インスタンスにWordpressをインストールして、Webサイト(このサイトのこと)を久しぶりに制作してみました。
1998年くらいに「インターネットで自由研究」という教育テレビの番組を新米ディレクターとして担当し、試しにHPを作ってみたりと、ネット歴は長いです。しかし今では、レイアウトに手間をかけなくてもレスポンシブデザインでスマホやタブレットでもきれいに表示されるし、隔世の感があります。

ただ最終的には何とかなりましたが、SSL(https化)がややこしくて手こずりました。AWS自体もとっつきにくいインターフェースではっきり全部は理解できないままに2年くらい使っています。
今は無料枠で作っているはずですが、データ量によって今後どれくらい課金があるかまだよく分かっていません。AWSはレンタルサーバと違って、高度な仮想サーバ技術を用いて従量制で課金するそうで、これまでも2回ほど10$くらい請求がきたことがあります。もちろんドメイン料金は年間15$くらいかかります。

Google Driveがやっぱり便利なのでファイル受け渡しに使うことが最近は多いですが、AWSのS3もPermanent Linkとして安定的にリンクが作れるので、よく使っています。たぶんこのS3のストレージが超過して料金をとられた気がします。
AWSには、WPやMoodleといった仕事でよく使うもの以外にも、Machine Learningとかもあるみたいで、機会があれば学びたいと考えています。

2019/12/16

はじめまして Nice to meet you

科学番組を制作する映像ディレクターです。北海道大学に来てからは、科学コミュニケーションとリスクコミュニケーションの実践および教育活動をしてきました。2020年から比較的自由な立場で、より社会での実践に重点を置いて活動していく予定です。

This is Hayaoka, the director of science media and contents. Since I came to Hokkaido University, I have been engaged in science and technology communication, risk communication practice and educational activities. Since 2020, I have been in a relatively free position, and from now on I plan to focus on practical activities.
Thank you.

2019/12/14