今回の研究紹介映像はデザイナーの方に入っていただいて作った。予算的にも時間的にも余裕がないとできないので、良い機会となった。ただ全体構成にも影響するので、早めにデザイナーの方に入ってもらったほうがよいかもしれない。
単にテロップやCGをスタイリッシュにする、親しみやすくするといった機能にとどまらず、映像全体の構成、何なら取材の方法にも影響するからだ。
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/01/post-781.html
実際、今回は続編の余市果樹園の方は編集を変えて1分程度、新たなシーンを付け加えることになった。「●●先生が目指す未来とは?」というエンディング前の要素である。フォーマットとして統一感をもたせる意味もあるが、映像構成としても締まった。
2020年2月に伝統的なドキュメンタリー番組であるETV特集で、「おいでや!おやこ食堂へ」という番組があった。ETV特集で子ども食堂といえば、いかにも外国人労働者やシングルファザーの苦境を描いた、みたいな番組構成が容易に想像されるが、以下サムネイルを見るとそういうベタなドキュメンタリーとはちょっと違うことが分かるだろう。
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/3RJ25QZ622/
どっちが先か分からないが、映像デザインによって撮影方法や編集もちょっと変わっただろうと思う。例えば、通常の大きいテレビ取材用の業務用カメラでなく、一眼レフの質感の方が合いそうだ。
私たちの場合は、仕上げ直前にデザイナーに入ってもらったため余裕がなかったが、実際はつけるBGMや取材方法も変わったかもしれない。例えば車でいえば、デザインによって、内装のみならずエンジンやトルクなどのフィーリングといった走りそのもののコンセプトまで変わるということでもある。
カメラマンにもいろいろなプロがいるので、あえてスチルのカメラマンを使ってみるとか、編集マンもCMの方を起用してみるとか、関わるスタッフによってできるドキュメンタリーに多様性が出てくるかもしれない。
ここからは余談となるが、じゃあ編集にMacまたはWindowsを使った場合で違った映像になるのだろうか。使っているのは同じAdobe Premiere Proである。うまく言語化できないが、使用ツールもコンテンツの内容に影響するのではないだろうか。今回は事情があってカット編まではWindowsで作ったが、仕上げはいつもどおりMacにした。
しかし、そのような使用ツールによらない普遍的な名作というのもあるだろう。鉛筆や万年筆で描かれた名作の元原稿はそれ自体に作品性があってアートのようにも感じる。そういう内容そのものが力強い作品にも惹かれるものだ。
2021/1/27