映像制作とDAO

頼まれ仕事が多く、最近はちょっと疲れ気味。2月になったら少し落ち着くだろうか。

前の記事で映像制作の役割分担について書いたが、それは、少し前からDAO(非中央集権型自律分散組織)に興味があるからだ。以前は会社組織を考えていたこともあったが、現在はブロックチェーンによってプロジェクト型の可変的な組織を作ることができるようなので、そちらの方が映像制作とは親和性が高いかもしれない。

難波宮跡(なにわのみやあと)公園(記事内容とは関係ありません)

たまたま、堤幸彦監督、本広克行監督、佐藤祐市監督が「SUPER SAPIENSS」というトークンを基盤とした共創コミュニティを作るということで、関係者からお声がけいただいた。私がぼんやり考えていたことを、ドラマ・映画界のカリスマである3人が既に実施しているということで非常に興味深い。DAOやNFT自体よく分からないという方は、このサイトなどを参考にしてほしい。

最近、メディア業界のヒエラルキー構造は弱まっている。広告予算の減少もあるが、インターネットやデジタル技術によって情報流通と技術的な優位性の2つのボトルネックが崩れたことが大きい。誰でもYouTubeなどで動画配信をして広告費を稼げる時代にあっては、フラットにプロジェクトメンバーを組み替えるチームの方が機動的に創作がしやすい。

映像の受け手にも変化は及んでいる。若者は映画やドラマを除けば、内容が凝縮された高品質なコンテンツをあまり見ようとしなくなった。むしろ気の抜けたVログや、感覚だけで見られるMVを好む傾向がある。
良い番組を見せればもちろん感動はするが、上の世代が「この情報が面白い、意義がある」として作ったものはなんとなく億劫というか、意味づけの強いものを避けるというか、「別に今は何か知りたいわけではない、特に何か分かりたくはない」という心情にはまりにくくなっているのかもしれない。もちろん自分もそういうときはある。選択肢が増えたということでもある。

若者からすると、作っている側の人間の”ノリ”が、自分に合ってるかどうかのほうがむしろ大事であり、DAOやNFTが今後、映像プロジェクトを育てていく手法として取り入れられていくのではないかと考える理由である。例えば、コンプライアンスが今ほどうるさくなかった頃のフジテレビの”ノリ”は世間の空気と確実に合っていたように思う。

私も個人や大学で映像制作を請け負うことはある。動画の単価は安くなる一方なので、会社だと組織維持がだんだん難しくなっていくように思う。やるとしたら小規模な組織か、フリーランスなどがDAOによるコミュニティを育て、複数のプロジェクトを走らせていくという形が今後も出てくるだろう。

2022/12/3

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