2022 新年の抱負

今年で錦鯉の長谷川と同じく50歳になる。こないだ同窓会的な忘年会を札幌でやったが肩が痛い、近くが見えないなど情けない話題と、子供が大学に入っただ、受験だなんだ中年トークでひとしきり盛り上がる。

ここで今後の仕事に夢も希望も無いとなると、なかなか寂しいものがあるが、まだ若い学生と一緒に何かを作るような仕事でよかった。私自身の発想が枯れても、若い子たちからいくらでも出てくる。自分の仕事はそれをうまく着地させ最終的な成果物にもっていくことかな。

富良野スキー場にて

簡単にまとめると以下のような抱負になるだろうか。

  1. 付加価値の高いコンテンツをつくる
  2. 若い人の新しい発想を大事にする
  3. 才能をオーガナイズする

1は、具体的にいうと、私のように小規模な個人商店では普通に映像を作ってもまず見てもらえないので、何かしら表現方法に新規性をもたせることだ。今は学生の発案で、小規模なプロジェクションマッピングに取り組んでいるが、それもAfter Effectsを使えば誰でもできるレベルのものである。しかし、VRやARなど組み合わせによっては、注目してもらえるようなコンテンツが作れるかもしれない。昨年投稿した論文では「体験型映像」と名付けている。

2は、価値観が転換している今の時代においては、自分の感覚は当てにせず、若者の発想力に頼るということだ。もちろん彼ら彼女らは最後までやり切る経験やノウハウに欠けている。そこを補いながら、着地まで持っていってあげることが年長者の仕事である。ましてや教員なのでそれがメインだ。だから、突飛な発想であっても、無理だとは言わず、どうすれば最後までもっていけるかを考える。

3は、これまで個人で形にすることが多かったが、今後は才能をうまく組み合わせて相乗効果を出すことが今の立場では重要だ。なので、安い仕事を請けて一人でやり切るみたいなのはもう止めたい。自分でできないことといえば例えば、デザインや音楽、アニメーションなどだが、こうしたジャンルの優秀な人をどんどん組み合わせて大きい成果につなげたい。

学生に表面的な技術を指導するのはそれほど難しくない。本当に難しいのは、コンテンツそのものを作る、つまりきちんと企画・構成して意味のある作品に仕上げるということだ。普通に良質な映像作品を作ってもそれほど注目を浴びることはないのだが、本来はそうした「内容そのもの」をきっちり作るのが一番難しい。そういう意味ではテレビとかで鍛えられた人は強いなと思う。科学番組を作るのにあまり科学のバックグラウンドは必要ない。大事なのは経験によって鍛え上げられた感覚である。

2020年にはフリーのような状態になっていろいろな選択肢が自分の前に示された時があったのだが、昨年のように、専任教員を軸にたまに本務に役立つような形での動画作品を作るのが自分にとっては最適だった。事務系の専門職みたいな話もあったのだが、こちらは本当に向いてないとつくづく思った。しっかりした事務がバックにいると心強いが、私自身は仕事で少しでも非効率なところがあるとすぐ嫌になってしまう性分なので書類仕事は難しい。

というわけで、今年も引き続き昨年の路線で教育3+制作1くらいの割合でがんばっていきたい。

追伸:過去の年賀状を失くしてしまったのと住所録が文字化けしてしまっていたので、年賀状は来た方にだけ追々出していきます。すいません。

2022.1/2

ハイブリッド配信のニーズが増える

ワクチン接種率が上がり少しずつ日常を取り戻してきたという状況を反映して、今後、リアル会場とオンライン配信をつなぐハイブリッド配信のニーズが増えてくると思われる。
昨年度、所属部署で購入機会を逸したBlackmagicdesignの「ATEM mini Pro」と、ZOOM(オーディオ機器メーカーのほう)の「PodTrak P4」を使って9/25にYouTubeでLIVE配信を行った。北海道大学ホームカミングデー文系4部局合同企画シンポジウム公開講座「コロナ禍を考える」の配信で、司会が2名、登壇者は4名、無観客という状況である。

ATEM mini ProもPodtrack P4も4系統の入力端子がある。ATEMには2カメ+講師PC、事務局PCの4つを入力した。音に関しては、大学の場合はすでに音響設備が教室ごとに整備されているケースが多いため、そのまま教室のマイクやスピーカーを使ってSUB OUTからP4にミックスされた音をもらうか、直接、ATEMに流すのが良いだろう。
ただATEMだとひと目でわかりやすい音量調節つまみがないのと、どうもMic入力しかないようなので、やはりここはいったんデジタルオーディオミキサーを入れたほうがノイズも少ないし操作もしやすい。今回はSUB OUTからRCAケーブル−ミニプラグ変換でPodtrack P4の3ch(スマホから入力可能な端子)に入れた。Podtrack P4の場合、SounPadというボタン一発で登録済み音源を出せる機能もあるので、BGMも流しやすい。

配信の様子

ATEM mini Proを操作するATEM Software Controlから直接配信など様々なことができるようだが、今回は慣れたOBSを使った。テロップや看板はPowerPointで職員の方に作ってもらってOBSから出すことにした。原始的ではあるが、最もかんたんな方法である。
文学部の事務局と実施したのだが、担当された職員の方は結構、マスターできたと思うので、今後、何度か経験を積めば2人体制くらいでできるようになるのではないか。今後は私自身も Software Controlとイーサネットケーブルで旗艦PCとつないだ直接配信を試してみたいと思う。

少し秋めいてきた北大キャンパス

今回、コロナ禍の状況に対して、北大教員が文系の視点で本音で語るというイベントで、内容も十分面白かったので、もっと広く見てもらえればと思った。
LIVE配信自体の垣根はだいぶ下がってきたが、どんなイベントでも同じで、集客やマーケティングは課題である。今回の場合、事前打ち合わせで先生方に自由にディスカッションしてもらって、なんか面白そうだなと思わせるような予告動画を作って、それをTwitterやFacebookなど各種SNSで流すのも有効かなと思った。話題作りがないと、北大の研究に何となく興味はあっても、いきなりポンと本番には入ってきにくいかもしれない。とはいえ、予告編だけ徹底討論風で、本番になると淡々と進んでしまう可能性もあって難しいが。
これは大阪で年明けに企画されている私の市民講座でも同様で、職員の方に広報をおまかせしてしまっているが、やはり集客に苦労されているようだ。いずれにせよ、これは面白そうだな、見てみたいと思わせるショートムービーみたいなものも今後は考えていきたい。

2021/9/26

オンライン授業での学び

動画制作をメインに進めている演習形式の授業が3つ終わり、ようやくひと段落した。だが、まだ作品完成までは時間がかかる。
 

自宅のほうが集中できる?

今年は学生たちが自発的に作業を進めるケースが多いように思う。その理由としては、自宅作業を遠隔でやっているので、そのままシームレスに自宅で作業を続ける意識が継続しているからだと思う。自宅のほうが集中力も高まるし、通学というのは意外と心理的な負担もある。いちいち大学まで来て、鍵を借りたり教員に連絡調整する気遣いが不要なのだから、学生たちにとって好都合なのかもしれない。
だが、コミュニケーションをできるだけ避けるようになるのは少し問題があるかもしれない。これは教員側にも言えることではある。
 

オンデマンド講義をOBSで作る

私自身ややリアルのコミュニケーションが苦手なので、学生もたぶんオンデマンドで自由に視聴できるほうが楽なのではないかと思って、オンデマンド講義にすることが多い。私の場合、実習や演習形式が多いので、もちろんオンデマンドだけではなくZOOM等の双方向授業は必須である。
今回は筑波大学用にOBS Studioでオンデマンド講義動画を作った。だいぶ慣れてきて、20分×8本くらいの分量をほぼ2日で作ることができた。以前80分1本で四苦八苦してた頃に比べると早くなった。
ZOOMでもオンデマンドぽく作れるが、画質・音質は悪いし、私は講義に動画をかなり使うので、ZOOMのクオリティでは厳しい。OBSはクロマキー合成もできるようなので、昔、JMOOC用に大変な苦労をして作ってもらった合成の講義動画もこれなら一人で割と簡単に作れそうである。
 

学生は勝手に検索して使いこなす

検索の時代にあって、「教える」とはどういうことか考えさせられることが多かった。興味さえあれば学生たちは自発的にPremiere ProやPhotoshopなどの使い方を調べていくので(After Effectsでさえも!)、彼女ら彼らに与えるのは知識よりも動機の方がはるかに重要である。
強いモチベーションをまず持ってもらうのが何より大事だとすると、この授業で何ができるようになるかを、最初のほうで明確にまた魅力的に示す必要がある。
またこのネット検索の時代に、得難いのは知識ではなく、体験であることがより明確になった。一人で悩むのではなく、よく知っている人間に教えてもらうことで思いもしなかった「化学反応」が起きる。仲間の学生と話し合うことで自らの内部から生まれる気づきもある。
 

学びを進める駆動力とは

というわけで、オンライン教育の駆動力となるのは、「動機」「自発性」「リアルでの体験」ということになるだろうか。こんなことは経験豊富な他の教員たちが過去にいくらでも言っているだろうが、改めて感じたのでここに記しておく。

がらにもなく、今日はまじめに書いてしまった。3つ終わってほっとしたのだろう…。
本当はもう一つあったはずなのだが、コロナで潰れてしまった。残念である。次は授業ではなく、自治体職員への研修となる予定である。

2020/10/2